2014-05-19 23:59 | カテゴリ:本の紹介
森野達弥(旧名・万寺タツヤ)の漫画「もがりの首」読了。

もがりの首


家の近所にあった水木プロに小学生の頃から入り浸り、高校卒業後水木しげるの弟子として水木プロ入社。以降水木プロのエースとして活躍してきたという(現在は独立)「水木しげるの正統後継者」と言うべき作者の、絵的にも、物語的にもまさしく妖怪的なセンスが光る一冊です。

内容は、素焼きの面を被った奇怪な男「もがり」が、故なくして虐げられ殺されていった者たちの無念と恨みを、神秘的な力を用いて晴らすというもので、言ってみれば怪奇風の「必殺仕事人」。
時代劇画にはありきたりなパターンの一つといえますが、何しろ主人公は妖人なので、物語の舞台となる年代が戦国時代から昭和40年台にまでそれぞれに異なっていて、それだけでも面白い。
時代時代においてもがりが遭遇する悲劇は、時代を戦国やら幕末やらに置き換えてはいるけれども、全て現代に通じるものばかり。
例えば「衣」はいじめ問題、「足跡」はストーカー殺人、「善意」はニート問題など。
登場人物も、喉元すぎれば…で恩人の苦境に際し裏切る侍、流行に乗ることができない愚直な職人、自分が偉大な小説家と思い込んでいる誇大妄想的な(自称)芸術家など、今の世の中にもゴロゴロいるであろう「リアルな」連中ばかりです。
この辺りが実にいいです。悪役が時代劇の悪代官、悪商人ほど荒唐無稽じゃないのですね(もちろんお話は荒唐無稽なんですけど…)。

そして、なんといっても絵がいい。
しっかり「水木しげる」タッチでありつつも、その中にちゃんと「萌え」を入れてる部分が凄いw
昔から女性を描くのがお上手でしたしねえ。
僕は「衣」のお市がいかにも漫画的なデフォルメの効いた顔ながらも、とても可愛いと思いました。
そして悪い奴は本当に悪い顔に描かれているwこの辺りが実にいいですw
もちろん水木タッチの点描とか、背景の書き込み、擬音の字体までほぼ同じ。水木しげるのファンの方もすんなり入って行けると思います。

水木しげるの奇妙な短編などがお好きな方、多分楽しめると思います。
是非おすすめしますよ。


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