2015-07-28 23:10 | カテゴリ:本の紹介
やあどうも、少し更新サボってしまって申し訳ない。
このところ暑さがいや増しに増したせいか身体を壊し、寝ておりました。
病院へ行ったら、持病のこともあって胃腸が弱ってるとかいわれて、整腸剤とか沢山出されてしまいました。
暑いから熱中症がと言って水をたくさん飲んだりするともともと丈夫じゃない胃腸がやられる、でも飲まないとどうにも…という悪循環。
7月でこれですから、暑さ本番の8月9月になったらどうなってしまうのでしょうか。
なんとも困ったものです。

さて具合悪くて寝てる間に、小松重男の「迷走大将 上杉謙信」という小説を読みました。



上杉謙信といえば、戦国武将の中では織田信長や武田信玄など有名どころの武将と並んで、非常に人気が高い人です。
そして戦争が上手で、局地戦ならほぼ負け知らずだったという戦術家として大いに優れた軍人でもあり、今は歴史好きの人たちの間では「軍神」などともてはやされている人ですが、実際はどうだったんでしょうか。
この小説では、そうした半ば伝説化された名将に描かれていないのが面白いところです。

現代に伝わっている謙信の資料をお医者さんに見せると、声を揃えて「糖尿病、高血圧、アル中、躁鬱症、統合失調症」などのたくさんの持病持ちだったのではないか、という応えが返ってくるそうです。
上杉謙信、病気のデパートですね(^^;)。
確かにこの人の一代記を色々読んでいると、その分析にいちいちうなずける部分が多く、同じような病気を持っているおっさんとしては(^^;)謙信も大変だったんだなぁと妙に同情してしまいますねw
この小説はその診断に基づいて「名将」ではない「人間」としての謙信像が描かれています。
最初のうちは、タイトルに有る「迷走大将」の欠片もないほどの謙信ですが、歳を重ねるに従って、元々の几帳面で臆病な性格と「戦国に生きる地方領主」という生活環境に葛藤を覚えるようになり、その救いを仏教へ求めるようになっていってさらに面倒なことになっていき、20の半ばを過ぎた辺りから「迷走」が始まります。
死の間際はまさしくタイトルにふさわしいボンクラぶりで、しかもトイレでうんこしている間に卒中で急死というなんともトホホな「迷走大将」ぶりを見せてくれます。

しかし、それが読んでいて嫌味ではない。
謙信を貶めようとして描かれていない、逆に彼に対する深い愛情が伝わってくるのです。
もちろん謙信ファンの中には、なんだこれはと激怒する人もいるかもしれませんが、謙信という人間の人となり、その性格の成り立ちなどをいちいち丁寧に綴っていくため、同情こそすれ嫌悪感を感じないのです。
こいつホントにどうしようもない奴だなあとか思いながらも、憎めない、嫌いになれない人間っているじゃないですか。
ああいうう風に謙信が見えてきて、軍神という高い地位に祭り上げられちゃった上杉謙信をもう一度人間として我々の傍に連れてきてくれるんですね。
これは作者の、肩肘張らずに簡体な、そしてどこか皮肉とユーモアを効かせた洒脱な文体に依る部分も大きいと思いますが、読み終えてそういう気になりました。
戦国時代とか、上杉謙信が好きで、最近人気のあるかっこいい軍神よりも、愛すべきダメ人間・上杉謙信を知りたいという方にはぜひおすすめします。



関連記事
スポンサーサイト

管理者のみに表示する

トラックバックURL
→http://newbadtaste.blog.fc2.com/tb.php/971-8a6ece88