2015-08-07 00:36 | カテゴリ:映画レビュー
久しぶりに映画を見ましたのでレビューを書いてみることにします。
先ほど過去記事を見返したところ、2013年辺りにはかなり書いていたみたいですが、ここ2年位は全く書いていなかったみたいですね。
まあ「ロボットガールズZ」の感想なんかは書いてますが、あれはアニメだしなぁ。
いずれにしろ、まともに映画を見ていなかったということなのかもしれませんね。

きょうは先日ブルーレイを購入した「マウス・オブ・マッドネス」のレビューです。



この映画は、結構古いので(約20年前)ご覧になった方も多いのではないでしょうか。
「遊星からの物体X」「ハロウィン」「ザ・フォッグ」等数多くのホラー映画を世に送り出してきた、同ジャンルの巨匠と呼んでも差し支えないジョン・カーペンターの監督作品です。

ググっていただけるわかりますが、この映画はカーペンターがH・P・ラヴクラフト(以降はファンの慣例に従いHPLと略す)の物語を下敷きにして制作したものといわれ、随所にHPL作品に対するオマージュが捧げられています。
カーペンターは意外にも(?)HPLのファンらしく、かつてはHPLの代表作の一つ「狂気の山脈にて」の映像化をやってみたい言う趣旨の発言をしていたことがありましたし、当時ロブ・ボーティンの手によるすさまじい特殊メイク技術が話題を呼んだ「物体X」は舞台が南極だったり姿を変幻自在に変化させる生物が登場するなど、「狂気の山脈にて」から強い影響を受けている作品と言えます。
この映画もそんな1本というわけです。
ただし、結局はアナグラム、言葉遊び程度の事なので、過度の期待は禁物でしょう。
期待し過ぎると確実にがっかりします。
僕が見た感じですと、雰囲気はHPLの作品というよりも、現代ホラー作家のスティーブン・キングの作品の方に似通ったものがあるように思います。
悪役のサター・ケインのモデルがキングらしいので、しかたがないといえばしかたがないのかもしれません。

HPLをリスペクトしてる割になんか違うんじゃないのか、とはHPLファンとして思わざるを得ませんが、文句を言ったところで、カーペンターだってHPL作品を完全再現しようとして撮っているわけではないですからね(苦笑)。
HPLはあくまでも小説、カーペンターは映画で他人に「自分の見ているもの」を見せたいと思っていたわけですから、事前と表現方法は異なってくるわけで、形が違ってくるのは当然でしょう。
ましてHPL原作と記しているわけでもないので、カーペンターに罪はなく、この辺りは単なるHPLファンの愚痴にすぎませんw
ただしストーリーの流れはHPL作品に似た部分があったように思います。
主人公が邪神の知識に触れ、最後は発狂するという流れで「インスマスを覆う影」とか「クトゥルフの呼び声」とか、そういうお話のパターンを踏襲しているんです。
カーペンターも一応、気は払っていたのでしょう。

物語のテーマは、タイトル通りキチガイを扱っているのでアレなんですがw、おそらく「マイノリティの恐怖」と「侵食される恐怖」、そしてこのテの映画お得に「人類の終末」でしょう。
マイノリティ云々っていうのは、「多数派に属している自分が気づかないうちに少数派になっていて、次第に追い詰められていく」というものです。
主人公のトレントは最初、自分は一般的な人間と同じように「正気(多数派と言い換えられる)だ」と思っていますが、失踪したホラー作家サター・ケインの行方を追ううちに立場が次第に変化して行き、最終的にはキチガイの中に取り残されたマイノリティに転落してしまう。
そして最後は自らも発狂するという経緯をたどります。
これは映画の序盤で、トレントと女編集者リンダとの会話の中に
「あなたは自分が正気でケインが狂っていると思っているかもしれないが、その立場が逆転したらあなたこそが狂人になる」
と言われるシーンからも顕著です。
このテーマは「ゼイリブ」や「物体X」、マシスンの小説「地球最後の男」、ロメロの「ゾンビ」シリーズなどにも共通する部分ですね。

侵食というのは、ケインが書いた物語が現実となり、社会が徐々に変貌していくという恐怖です。
そしてそれを止められない。逃げて抵抗するか、自分も飲み込まれるしかない。
トレントは前者を選び、リンダは(不本意ながら)後者を選びます。
この無力感と不気味さよ!
そしてそれは本という媒体を通して世界中へ広がっていき、キチガイの数が爆発的に増えるのです。
本を読めない人間には映画があるという抜け目なさ。
こうして世界は滅び、邪神が地上に蘇るのです。

終末というのは、まあホラーではありきたりのものです。
終末にしちゃちょっと迫力不足かなとも思いましたがw、ラストの誰もいない映画館のシーンが非常に印象的でした。

もとから不条理なシーンが連続する映画なので、突っ込みどころは多いのですが、それが目立ちませんw
この辺りは計算して作ってんだなと思われて面白いですw

役者面ではサム・ニール(オーメン3でおとなになったダミアンを演じた人)が疑り深い保険調査員から単なるキチガイに身を落としていく主人公絵を熱演します。
この人は顔が怖いので(本当に悪魔の子のようw)、いちいち動作に迫力が出ていてすごいですねw
序盤で、保険金詐欺を働いた人間を問い詰めてやり込めるシーンが、非常に切れ者っぽく見えました。
まあ怪物からヒイヒイ言って逃げるシーンはみっともなかったですがw
悪役を演じるユルゲン・プロホノフの演技が、出番は少ないもののまさしく悪玉傲慢で、邪悪で尊大で、貫禄たっぷりでした。さすが演技力ありますねえ。
他にもチャールストン・ヘストンとか、意外な大物が出演してるんですが、ヒロインを演じるジュリー・カーメンはいただけません。
顔立ちはそれなりにいいのですが、肌がとにかく汚い。吹き出物とシミだらけんです。
ちゃんとメイクをしてる上でこれですから、素顔はどんなものなんだと思っちゃいますが(^^;)、もうちょっとなんとかならなかったのか。
なんつうのかな、カーペンターの映画はヒロイン選びが本当にイカンですねえ。
ま、最新作の「ザ・ウォード」では女の子が皆かわいこちゃんになってましたがw
カーペンターはAKB48のファンだそうなので、少しは目が肥えたというところでしょうか。
いや、おれAKBはよくわからんけどw

初見でしたがなかなか楽しめる映画でした。
HPLファンの方には期待せずご覧になることをお勧めしますが、それなりには楽しめる内容となっております。
特撮もなかなか頑張ってますし(しかし怪物の全身像くらい、ハッキリと見せて欲しかったなあ)、エグいシーンも少ないので、その手のシーンが苦手な方にも安心です。
家族で見られるとは言いませんが…w
今ならアマゾンで安くBDが購入できますし、お気が向かれましたらご覧になられてみるのもよろしいのではないでしょうか。
長々とスンマソンw



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